〇自筆証書遺言の様式緩和について
10連休、皆様は有意義に過ごせましたか?
私どもの業界では、なにぶん役所が休みなので事務所は10連休にしていたけれど、実際には何日かは事務所に来て仕事を片付けていた、という方が多かったように思います。
私も、ドーンと欧州まで旅行!なんてことは叶わず、細々といろいろしておりました。飼っているメダカに稚魚がたくさん産まれたので水槽を一回り大きくしたり、フローリングに久しぶりにワックスを掛けたり、前から気になっていたフェルメール展に行ったり、白浜にパンダを見に行ったり。休みだけどもったいなくて休んでいられない、典型的な日本人タイプの過ごし方をしておりました。
平成31年1月13日より、民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の自筆証書遺言の方式の緩和に関する部分が施行されたことにより、自筆証書遺言の方式が少し変わっています。
以前は、全文を自書(自分で手書きすること)した上で、日付を記入し署名・押印をすることが要件でしたが。「全文を自書」の部分が緩和され、相続財産の全部または一部の目録については自書しなくても良いようになりました。
具体的には、預貯金だと「○○銀行△△支店の普通預金 口座番号××××、定期預金××××・・・」の部分まですべて手書きしなければならなかったところ、パソコンで作成したり、通帳のコピーを添付したりすることで替えることが可になったこと、不動産であれば、所在、地番などを不動産の登記簿謄本を見ながら手書きする必要があったところ、パソコン作成や登記簿謄本のコピーの添付でも良くなったこと、という感じです。
不動産を特定する場合、住居表示(いわゆる「住所」です)では不正確ですし、「私の自宅」や「私の建物」などと書いても、有効なのか無効なのか正直言って判断できません。
この点、登記簿謄本のコピーをつけていたり、目録の作成だけ専門家にお願いしたりしていれば安心ですね。
ですが、注意点がいくつかあります。
まず、自書しなくてよいのは目録部分だけですので、「○○を△△に相続させる」といった遺言の本文は、やはり自書しなくてはなりません。また、本文と自書しない目録部分とは、用紙は別でなければなりません。なので、例えば通帳をコピーした用紙に「上記預金は△△に相続させる。」と書くことは、新方式の想定するところではありません。
また、すべてのページに署名・押印をしなければなりません。目録が何ページにもわたっているときは全ページに、コピーを添付する場合はそのコピー全ページに、裏面にも記載がある場合には裏面も含めてすべて、署名・押印が必要です。
契印の定めはないようですが、バラバラの目録や複数のコピーがあれば、どこまでが遺言と一体であるのか争いになることは十分に考えられますので、ホチキス等で一体化した上で同じ印鑑で契印することが望ましいでしょう。
あくまで、「財産目録を添付」することができるようになっただけですので、本文を自書、日付を記入し、署名、押印した上で、別の用紙で財産目録を作成するようにしてください。
ところで、緩和された方式の自筆証書遺言に関するご相談は、まだあまりお聞きしていません。今はまだ公正証書遺言のご相談が主ですね。
来年の7月10日より法務局での自筆証書遺言書保管が始まりますので、そのころには自筆証書遺言に関するご相談も増えると思われます。自筆証書遺言の作成相談・チェックと財産目録作成、あたりがデフォルトになるでしょうか。何にせよ、遺言書を作成される際には、お考えいただきたいことがいろいろありますので、一度専門家にご相談されることをお勧めします!
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